遠赤外線は良く聞くと思いますが、やはり"遠"があるなら"近"もあると言う事で、炭火から出る赤外線には遠赤外線と近赤外線があります。
まず何が違うのかと言うと、赤外線は人間の目に見えない不可視光線で、その波長が0.78~3μmが近赤外線、50~1000μmが遠赤外線です。
赤外線の届く深さを浸透深度と言いますが、人間の体で言うと近赤外線は皮膚表面から数ミリメートルの深さまで浸透するので、手のひら内部の静脈認証にも使えます。一方、遠赤外線は、皮膚表面から約0.2mmの表面でほとんど吸収されてしまいます。
つまり、近赤外線は肉の深さ数ミリまで熱が入りますが、遠赤外線は表面だけしか熱が入りません。
やっぱり多くの人が誤解してますよね。遠赤外線の方が遠く、つまり肉の内部まで熱が入りそうな印象がありませんか?実は逆なんです。
これ近赤外線でも数ミリって事は、肉の厚さが2cm以上あったら直接は熱が入らないって事。厚切りの牛肉何かそうですよね。あくまでも伝導熱のみです。そう考えると焼鳥のサイズ感も実は理にかなっているんですかねw
そして温度が高い方が近赤外線の量が増えるそうなので、強火の方がむしろ直接中まで熱が入り易いって事ですね。
熱の伝わり方は、対流、伝導、放射(輻射)、ですが、加熱は熱せられた空気が対流で肉に当たり、その熱が伝導で伝わるのが一つ。もう一つは、赤外線などの輻射です。
対流による加熱は、熱伝導で表面温度が上がり、熱せられた表面からさらに熱伝導で内部に伝わります。肉表面から内部に熱が伝わる(逃げる)量より、遥かに強い量の熱が加わると、表面温度は熱風の温度にどんどん近づき、焦げてしまいます。下火の直火だと焦げやすい、ということです。
対流が少なければ、相対的に輻射の影響が大きくなり、強火の方が近赤外線が強いので、中までよく火が通ると言えます。対流が少ないのは、ガスより炭火ですし、直火より遠火です。魚を焼くのに遠火の強火が良い、と言うのは近赤外線調理が良いと言うことになりますね。
鳥しきさんの近火の強火って言うのは、近赤外線をより意識した火入れなんですね。なかなか真似の出来ないやり方でしょう。多分、一般的に理想と思われる火入れは遠火の強火~中火。強火で近火だと熱伝導が激しいので表面に熱が入り過ぎてしまいますね。中を敢えてレアにするならこれもありですかね。
近赤外線は、光と同様に光源(熱源)が小さいと波面が球面状に広がって、遠くなると弱くなってしまいます。しかし、大きな面光源(面熱源)になるようすると、波面は平面になり遠くまで広がらずに届きます。つまり、遠火の強火を実現するには、炭火を広げて大きい熱源にするのが理想です。
参考
https://www.heat-tech.biz/products-epl/eph-gj/eph-gj-ek/1184.html
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